アレルギー性鼻炎のレーザー治療について
下甲介粘膜レーザー焼灼術
アレルギーは体全体の反応の結果起こりますので、まずは薬などを用いる治療がおこなわれます。しかし、そのような治療でうまくコントロールできない場合や、薬を内服できない場合などにレーザー手術が行なわれます。スギ花粉症などの季節的なアレルギーは、12月、1月、2月の症状が始まる前に手術をすることをお勧めいたします。もちろんハウスダストやダニなどの通年性の鼻炎にも効果的です。
作用機序
レーザーの熱により鼻の粘膜の蒸散と蛋白変成が起こり、治療後2~4週間で粘膜の繊維化が起こります。このため、アレルギー反応を惹き起こすレセプターの減少とともに、鼻腺が減少するために鼻汁分泌が減少し、知覚神経終末が減少するためにくしゃみが起こりにくくなり、粘膜の瘢痕収縮により鼻づまりが改善します。
方法
当院では外来での日帰りの処置となります。鼻腔の形態や粘膜の状態によりますが、原則として同時に両側行ないます。先ずは鼻の診察を行い、レーザーが適応か否か判断を行います。その後、治療の対象となった方はご予約をお取りします。
※受診当日のレーザー治療は行っておりません。
1.キシロカインと呼ばれる麻酔液のスプレーやガーゼを挿入して、鼻粘膜を表面麻酔します。(鼻粘膜への注射は行ないません)
2.15~20分後にガーゼを抜去します。鼻の孔に細いパイプ型の器具をいれ、アレルギー性鼻炎の主な反応部位である下甲介粘膜を、炭酸ガスレーザーを照射します。照射時間は両側で約10分程度です。こげくさいような臭いのある煙を吸うためにチューブを挿入します。手術中の出血は少ないため、そのまま鼻の中には何もいれずに終わります。
※出血しやすい方は、溶けるスポンジなどを鼻の中に挿入することもあります
※術中の痛みはほとんどありませんが、チクチクするような軽い痛みを感じる方もおりますので、その場合には麻酔の追加を行ないます。当院では原則として小学校高学年~中学生以降から施行しています。
3.当日帰宅後は、飲酒や激しい運動は原則として控えてもらいます。シャワーまたは短めの入浴にしてください。
4.術当日~3日くらいは鼻閉、鼻水、くしゃみが一時的に悪化します。また術後2週間~1ヶ月程度、かさぶたがつくことがありますがその後改善します。
5.通院は、手術後1~3日に1回、1~4週後に1、2回で処置にきていただきます。
6.アレルギー反応が高度で1回の治療で充分な効果が得られない場合は、ある程度経過を診た上で本人とご相談して、追加照射も行ないます。
有効率
約80%です。レーザー手術は鼻粘膜局所の対処療法であり、アレルギーは体全体の反応ですので、体質や身の回りの環境自体が変わらなければ、再発の傾向があります。鼻粘膜のアレルギー反応の強さ、レーザーに対する粘膜の反応は個人差があり、5年以上再発のない方もおりますが、2年程度で効果がなくなる場合が多く、花粉症などでは各シーズン毎に治療を追加する方もおります。
安全性
局部的、部分的な治療であり、レーザー光は鼻粘膜表面で吸収され、体内には入りませんので安全性です。術中は、目にレーザー光が入らないように保護します。
費用
健康保険が適応され3割負担の方は手術費用だけでは8,730円となります。