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歯科保存学講座

教育概要

 講義の担当は、保存修復学(第3学年前~後期)、歯周病学(第3学年後期~第4学年前期)、および歯内治療学(第3学年後期~第4学年前期)である。

 また、講義で修得した学理と知識をより深いものにし、また第5学年での診療参加型臨床実習において実践するための技能や態度の修得を目的として、第4学年前期には保存修復学、歯周病学で、第4学年後期には歯内治療学で模型を用いた基礎実習・相互実習を実施している。

 第5学年の保存修復学、歯内治療学領域における診療参加型臨床実習では歯の硬組織疾患や歯髄疾患、根尖性歯周疾患の検査・診断、治療計画の立案、修復のシミュレーション、歯の硬組織疾患の治療、マイクロスコープの使用方法などの修得を目的とした教育を行っている。歯周病学領域における診療参加型臨床実習では、歯周組織検査・診断、治療計画の立案、プラークコントロール、スケーリング、ルートプレーニング、歯周外科の介助や診療補助を実践している。

 第6学年では歯科医師国家試験を見据え、これまでの総復習と臨床推論能力の向上を目指した教育を実践している。

研究概要

 8020運動の推進が開始された平成元年(1989年)当時、その達成率はわずか7%にすぎなかったが、30年経過した現在では50%以上の達成率となった。この背景には、歯科接着技法や接着・審美材料の進歩が可能にした最小限の侵襲による齲蝕治療(Minimal Intervention)の普及、マイクロスコープやコーンビームCTなどを用いた診断を踏まえた歯髄・根管処置、再生療法をはじめとする歯周病治療の技術向上が大きな要因となっている。歯科保存学講座では歯科の二大疾患である「齲蝕」や「歯周病」,さらにこれに付随した「歯髄疾患」や「根尖性歯周疾患」に罹患した歯を如何にして口腔内に長く保存し、しかも快適に機能を持続させるかということに対して基礎、臨床の多方面から研究活動を行っている。

成人の歯の喪失原因の過半数を占める歯周病は、その病因としてプラーク中の細菌感染と、それに対する宿主の炎症・免疫応答、さらに喫煙、ストレス等の環境因子が加わった感染症であり、かつ生活習慣病である。近年、糖尿病や心臓血管疾患などの全身疾患との関連性が解明されてきており注目されている。よって歯周病自体の病因解明、治療法の改良とともに、全身との関連性も研究している。

超高齢社会における平均寿命と健康寿命を一致させ、生涯快適な食生活を送るためには、「歯周病」治療は勿論のこと、「齲蝕」をはじめとする口腔内全体の治療、ケアが必須であり、以下の研究を行い国民の健康増進に寄与する。

・歯質と修復材料との接着メカニズムおよびその長期耐久性に関する研究
・歯科用接着材料の接着・重合阻害因子への対応
・各種歯科用修復材料および歯質の表面性状分析および色彩学的検討
・歯科診療に適した医療用照明の開発
・レーザーの歯科臨床への応用
・ホワイトニングによる歯質・修復材料の構造変化
・歯や修復物に対するメカニカルストレスへの対策に関する研究
・根管の清掃拡大法の改良
・根管洗浄液と洗浄方法の改良
・根管消毒法と根管充填法の改良
・レーザーを用いた根管拡大,根管洗浄
・新規根管洗浄剤・根管消毒薬の開発
・仮着用セメントの除去操作に関する基礎的研究
・歯周組織再生療法の臨床的評価、新術式の開発
・全身疾患と歯周病の関連に関する疫学介入研究
・高齢者に対する低侵襲性歯周病治療の開発
・歯周病と心臓血管疾患の関連に関する実験的研究
・歯周病患者における細菌検査・ゲノム検査の確立
・慢性炎症病態としての歯周病に対する抗老化細胞療法の創出
・インプラント周囲疾患に対する低侵襲レーザー治療法の開発

沿革

 大学創立時には歯科保存学第1講座と歯科保存学第2講座とが開設された。

【旧第1講座】
1972年4月
 開学と同時に講座が開設された。東京歯科大学から着任した初代・服部玄門教授が中心となり、歯周病学と歯内療法学を担当した(1976年6月退職)。
1977年4月
 二代目の太田紀雄教授が愛知学院大学から着任し、歯周病学の担当となった。
これにより、全国で9番目の歯周治療学専門講座が新たにスタートした。
1997年6月
 音琴淳一講師が助教授に昇任した。
2006年3月
 太田教授が定年退官を迎えた。
2006年12月
 愛知学院大学歯学部の吉成伸夫講師が三代目の教授に就任した。同時に、音琴淳一助教授が教育学習支援センターの教授に就任した。

【旧第2講座】
1972年4月
 開学と同時に講座が開設された。開設当初は教授が不在であった。
1972年10月
 東京医科歯科大学から安田英一助教授が着任、保存修復学を担当した。
1974年3月
 安田英一助教授が教授に昇任し、本格的な活動が始まった。
1976年6月
 第1講座の服部教授退職に伴い、第2講座のみで歯科保存学の3教科(歯周病学、歯内療法学、保存修復学)すべてを担当することとなり、全講座員が教育・研究・臨床で多忙な時期を過ごした。特に1期生の国家試験受験に対しては当時の講座員による多大な努力で乗り越えることができ、その頃の教育に邁進した姿勢は講座の信条として今日に引き継がれている。
1994年4月
 笠原悦男助教授が教授に昇任し、安田教授との二人体制となった。安田教授は保存修復学を笠原教授は歯内療法学をそれぞれ担当した。
2001年3月
 安田英一教授が退職し、笠原教授が保存修復学も兼務した。
2003年4月
 山本昭夫助教授が教授に昇任、保存修復学を担当することとなった。
2014年3月
 笠原教授が定年退官した(現・松本歯科大学衛生学院長)。

【講座統合後】
2014年4月
 さらなる教育、研究の充実と効率化を目的として第1講座と第2講座が統合し、歯科保存学講座と改称した。
2015年1月
 愛知学院大学の石原裕一准教授が歯内療法学担当の教授に着任した(2019年3月退職)。
2015年4月
 元岩手医科大学歯学部歯周病学講座教授の國松和司先生が特任教授として着任した(2019年12月逝去)。
2017年4月
 山本昭夫教授が総合口腔診療部門(保存科)科長に就任した。
2018年12月
 安西正明准教授が総合口腔診療部門(保存科)教授に就任した。
2019年4月
 東京歯科大学千葉歯科医療センターの亀山敦史教授が保存修復学担当の教授として着任した。
2019年9月
 明海大学歯学部機能保存回復学講座保存治療学分野の増田宜子准教授が歯内治療学担当の教授として着任した。
2023年3月
 旧第2講座出身の山本昭夫教授、安西正明教授が定年退官を迎えた。

 現在は、吉成教授が講座主任を務め、亀山教授が保存修復学、増田教授が歯内治療学、吉成教授が歯周病学を専門として担当している。



スタッフ紹介(2023年4月1日現在)

教 授:吉成伸夫        
 ・日本歯科保存学会 専門医・指導医
 ・日本歯周病学会 専門医・指導医
 ・日本レーザー歯学会 専門医・指導医
 ・日本老年歯科医学会 専門医・指導医
教 授:亀山敦史
 ・日本歯科保存学会 専門医・指導医
 ・日本接着歯学会 専門医・指導医
 ・日本レーザー歯学会 専門医・指導医
 ・日本歯科理工学会 Dental Materials Senior Advisor(審美歯科器材)
 ・日本歯科東洋医学会 専門医・指導医 
 ・日本口臭学会 専門医・指導医
 ・日本総合歯科学会 認定医・指導医
教 授:増田宜子
 ・日本歯科保存学会 専門医・指導医
 ・日本歯内療法学会 専門医・指導医
 ・日本レーザー歯学会 専門医
講 師:小町谷美帆
 ・日本補綴歯科学会 専門医・指導医
講 師:尾﨑友輝
 ・日本歯周病学会 認定医
講 師:出分菜々衣
 ・日本歯周病学会 認定医
助 教:中村 卓
助 教:小松佐保
 ・日本歯科保存学会 認定医
助 教:石岡康明
 ・日本歯周病学会 認定医
助 教:甲田訓子
 ・日本歯科理工学会Dental Materials Advisor
助 教:中村圭吾
 ・日本歯科保存学会 認定医
助 教:宮國 茜
 ・日本歯科保存学会 認定医
 ・日本レーザー歯学会 認定医
助 手:岩﨑拓也
助 手:水谷莉紗
助 手:水谷隆一
・日本歯周病学会 認定医
助 手:上原龍一
 ・日本レーザー歯学会 認定医
 ・日本禁煙学会 認定指導者
助 手:原 美音
助 手:宮下 彩
 ・日本歯科保存学会 認定医
助 手:吳 佳瑩
 ・日本歯科保存学会 認定医
助 手:小山尚人
助 手:森川雅己
助 手:加藤慎也
助 手:大谷有希