病院長メッセージ
21世紀型歯科大学病院をめざして
松本歯科大学病院 病院長
矢島 安朝
松本歯科大学病院は、1972年の松本歯科大学の開学とともに開設され、すでに約50年の歴史を持ち、地域医療の拠点病院として数々の業績を上げてまいりました。さらに2008年には、最新の医療設備を備えた新病院として生まれ変わり、医科診療科の充実を図り、さらなる社会貢献を果たすべく、職員一同頑張っているところです。
ご存じの通り近年、口腔環境と健康寿命との明瞭な関係が証明されています。口腔の環境(口腔ケア、噛み合わせの回復等)を整えることが、認知症の予防・改善、フレイル(虚弱)やサルコペニア(筋力の衰え)の予防・改善につながり、要介護状態の発生を遅らせることが可能となり、最終的に口腔環境の改善が健康寿命の延伸につながると言われています。つまり、従来の歯科医療の目標は、「う蝕や歯周病の予防」によって「口腔の健康を確立」することでした。しかし現在は、歯科医療が全身の健康に関与することが明らかになったことで、その目的は、歯科治療によって口腔の健康を確立したうえで「全身の健康と健康寿命の向上」をめざすことが最終目標となったのです。この目標達成のためには、歯科と医科との医療連携の充実が最重要課題であると言われています。幸いにして当病院では、他の歯科大学病院とは異なり、複数の医科の診療科(内科、耳鼻いんこう科、皮膚科、整形外科、健診センター、健康づくりセンター)を有しています。当然、患者様を間に挟んだ歯科各科と医科との医療連携も早期に、緊密に、強固に確立することができるわけです。これこそ、健康長寿につながる「21世紀型歯科大学病院」であると考えられます。
松本歯科大学病院の病院理念は「建学の理念に立脚し、患者様の個人の尊厳を重んじた手厚い歯科医療を行う」であります。さらに病院の基本方針は「患者様に優しく、親切で、安全・確実な医療の提供をめざす」と明記されています。これらの基本的方針を前提に、新しい歯科医療の目標に向かって、21世紀型歯科大学病院といった高みをめざし、多くの皆様から信頼をいただけるよう職員一同、誠心誠意、精進してまいりますので、何卒宜しくお願い申し上げます。