診療内容・案内

 当科の特徴は大学病院として、最新の医療機器を用い、高度な医療を取り入れることで、他施設では難治症例とされる白内障、網膜硝子体疾患に対する診療体制をとっていることです。これらに対する外来診療では1人の患者さんあたりの検査が多くなり、診療時間がかかります。当科でしかできない検査・治療を優先し、それ以外は最寄り・かかりつけの診療所・病院の先生方と連絡を緊密にとります(病診連携)。

 加齢に伴う視力低下の代表的な疾患である白内障に対する白内障手術を入院(一部、外来)で行っております。また失明を免れるために緊急手術が必要な網膜剥離やより細かな手技を必要とする黄斑前膜・黄斑円孔といった網膜疾患に対する硝子体手術も手術治療の主体です。
 外来では加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症、糖尿病網膜症に対する硝子体内注射治療という専門治療を主体としております。
 2008年の眼科開院以来、一貫してこれらの専門治療を行っており、塩尻・松本市近隣はもちろん、岡谷・諏訪・茅野市および伊那・駒ヶ根市地域の診療所および総合病院眼科からも広く、患者さんが紹介されております。

初診・再診

 眼鏡、結膜炎、アレルギー性結膜炎、麦粒腫(ものもらい)等は眼科診療所にて対応が可能であり、また、前述の地域の診療所・病院とは「病診連携」にて当科受診が必要な際は紹介されますので、心配せず、まずはお近くの眼科を受診してください。
 2020年4月より常勤医退職に伴い、外来診療可能な医師が減るため、当面の間(常勤医が増員されるまで)、初診患者さんは紹介状のある方に限らさせて頂きます。

お断り

 当科を受診の患者さんの多くは散瞳剤点眼による眼底検査を必要とします。
 散瞳検査後は一時的な視力低下が数時間続くことが多いため、受診予定の患者さんは【ご自分の運転による自家用車でのご来院はお控えください】。
 当科に紹介の患者さんの多くには複数の検査が必要となるため、医師による診察の終了までかなりの時間を要することがあります(1~3時間)。必要な検査は患者さんごとに異なるため、待ち時間もそれぞれ異なり、診察の順番が変わることがあります。
 再診用の受付票に印刷される時間は、あくまで【検査開始時間の目安】であり、医師による診療開始時間ではありません。時間には充分な余裕をもってお越しください。
 スタッフ一同、可能な限り、迅速な対応を心がけますが、かなりお待ちいただくこともあります。
 眼科独自の診療事情をご理解頂き、ご了承お願いいたします。

主な対象疾患と治療法

〇白内障
 水晶体が濁り、眼鏡をかけても視力が出なくなる疾患です。局所麻酔にて、濁った水晶体を吸引し、人工眼内レンズを移植する手術です。基本的に2泊3日入院ですが、日帰り手術にも対応しております。遠方も近方も眼鏡なしでみえる多焦点眼内レンズを用いた手術も行っています(2020年3月まで自費診療・先進医療、2020年4月以降は選定療養)。
〇裂孔性網膜剥離
 失明を免れるために緊急に手術が必要で、局所麻酔で1~2時間の硝子体手術と術後2週間程度の下向き安静が必要になります。
〇黄斑円孔・黄斑前(上)膜
 ものをみようとした中心がみえない「中心暗点」や曲がってみえる「ゆがみ」といった、視力低下が出る疾患です。黄斑円孔は網膜の中央(黄斑部)に丸く穴があいた疾患で、黄斑前膜は黄斑部に硝子体由来の膜が張り、網膜の配列が不整になる疾患です。局所麻酔で1時間の硝子体手術(黄斑円孔では術後2週間程度の下向き安静も)が必要になります。1~2週間の入院となります。
 *硝子体手術は強膜(しろめ)に小さな穴を3ヶ所あけ、眼内の硝子体を切除除去し、網膜の病気を治療する手術。当科では25 G(直径0.5 mm) または27 G(直径0.4 mm)の穴をあける極小切開硝子体手術を行っています。
〇加齢黄斑変性
 日本人の成人失明原因の第4位の疾患です。視力低下とゆがみが自覚症状です。脈絡膜新生血管が生じている場合は1~3ヶ月ごとの抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬の硝子体注射が必要になります。これは外来手術となります。視力が戻る方もいますが、失明(0.1の視力)に進まないよう視力を維持するための治療となります。
 加齢黄斑変性にはいくつかのサブタイプがあり、光線力学的療法(PDT)という特殊なレーザー治療が適応となる場合があります(このレーザー装置は長野県には5台しかありません)。
〇網膜静脈閉塞症
 動脈硬化により網膜静脈が詰まり、眼底出血が起きて視力が低下する疾患です。黄斑浮腫をきたした場合、視力改善と維持を目的に抗VEGF薬の硝子体注射が必要になります。症例によっては網膜光凝固を行います。
〇糖尿病網膜症
 日本人の成人失明原因の第2位の疾患です。網膜症がある程度進んだ場合、網膜光凝固を行い、失明に至る前に進行を止める治療を行います。また、黄斑浮腫をきたした場合、抗VEGF薬の硝子体注射を行います。
〇ぶどう膜炎
 眼内に炎症が生じた状態で、サルコイドーシス、ベーチェット病、原田病をはじめ、さまざまな原因で生じます。まずは原因疾患のための精密検査を行い、それに合わせた治療を行います。ステロイドの点眼、局所注射、内服治療が主体となります。必要に応じて硝子体手術を行うこともあります。

スタッフ紹介

医師

太田 浩一(科長/日本眼科会認定専門医、日本眼科学会指導医、PDT認定医)
佐藤 敦子(日本眼科会認定専門医、PDT認定医)
福井 えみ(日本眼科会認定専門医、PDT認定医、非常勤)
新井 郷子(日本眼科会認定専門医、PDT認定医、非常勤)
非常勤医師 若干名(日本眼科会認定専門医)

その他

主要装備

診断機器:
画像ファイリングシステム(IMAGEnet eカルテ)、3台の3次元眼底像撮影装置 (SPECTRALIS OCT+HRA、RS3000、Triton)、 視野検査装置(ハンフリーフィールドアナライザーHAF II、ハンフリーFDTスクリーナー)、角膜形状測定装置 (TMS-4)、超音波画像検査装置 & UBM (UD6000・6010) 、 ERG&VEP(LE-3000)、IOLマスター、OPTOS超広角レーザー検眼鏡200TX(造影付)、多局所ERG(VERIS)

治療機器:
マルチカラーレーザー光凝固装置(MC-300)、YAGレーザー手術装置(YC-1800)、光線力学的療法用半導体レーザー(ビズラスPDTシステム690S)、超音波白内障手術装置(インフィニティ)、硝子体手術装置(コンステレーション)、手術顕微鏡(ライカ社 プロベオ8+バイオム5 ※2020年春導入)、高輝度光源装置(キセノンブライトスター)

左:網膜の検査結果を説明しながらの外来診療
右:網膜診断のための超広角レーザー検眼鏡(正面奥)および3台の光干渉断層計

左:光線力学的療法用の半導体レーザー装置 
右:眼科手術室内の装備

左:最新の手術顕微鏡プロベオ8
右:長野県内病院への導入1号の硝子体手術用バイオム5

【沿革】

2008年(平成20年)4月に医科部門として内科とともに新規に開設されました。信州大学医学部眼科学講座より前准教授の太田浩一を含め3名の眼科専門医が着任し、網膜硝子体疾患の診断・治療を中心とした診療を行います。
2008年(平成20年)9月より「日本眼科学会専門医制度研修施設(第4080号)」に認定されています。