(2018.11.01) 影山徹 ポール・マッカートニーより学ぶこと

(2018.11.01)硬組織疾患制御再建学講座 准教授 影山徹 

ポール・マッカートニーは9月7日にニュー・アルバム『エジプト・ステーション』をリリースしており、同月カナダから最新ツアー「フレッシュン・アップ」ツアーをスタートさせています。このツアーは10月から11月にかけて日本に上陸することが決定しています。ポール・マッカートニーが2013年と2015年に来日してコンサートを行ったのは、記憶にあたらしいですよね。「ポピュラー音楽史上もっとも成功した作曲家」のギネス記録を持つポール。収入のために仕事をする必要なんてまったくないのに、76歳(1942年6月18日生まれ)でもツアーを行っている。この年齢で長時間にわたり若い頃と同等のライブパフォーマンスを行えるのは本当に人並みはずれた凄いことだとみなさん思いませんか?あなたの音楽に対する情熱はどこから来るんでしょうか?という問いに「どういう分野であれ、自分が情熱を持っているものに対してはエネルギーを費やせると思うし、それは難しいことではないと思うんだ。情熱を持てるものに対してはエネルギーが湧いてくる、音楽に対して情熱があるから音楽を作りたい、音楽をプレイしたいという気持ちが湧いてくるんだよ」と答えています。また、作曲について伝記*によると、「いまだに曲をつくるのは大好きだけれど、同時に、自分にできるのかという疑問も感じるんだ。だからこそ、曲を仕上げたときの達成感がたまらないんだ」と言うポール。私たちには臨床や研究をそれに当てはめることができます。医療技術は日進月歩といっても患者さんが苦痛に感じることや、私たちが患者さんを診るにあたり、不自由に感じることはいつの時代になっても尽きることがないと思います。日々の生活で忙しく仕事をしていると、つい定められたルーティーン作業に仕事がとどまってしまいがちですが、情熱を持って患者さんと接っしていれば、患者さんが困っている本質をより深く理解するでしょうし、そんな想いの積み重ねが幾つもの新しい研究の動機や新技術の確立につながっていくのです。ポール・マッカートニーには作曲や演奏が仕事、そしてそれが生きること。引退の2文字はないようです。ポールの言葉は研究に強い情熱がもっとも大切なことを再確認させてくれます。みなさんも大学院でのミッションがワクワクしていることだと思います。また、これからの学生さんは是非大学院までを視野に入れて将来を考えてもらえることを願い、このコラムを閉じたいと思います。つたない文章にお付き合いただきありがとうございました。

*『Paul McCartney: The Life』(フィリップ・ノーマン著)