(2018.09.01) 岡藤範正 ON THIS DAY in 1985

(2018.09.01)硬組織疾患制御再建学講座 教授 岡藤範正 

1985年6月8日土曜日8時30分の集合時間には小雨が降っていた。場所は当時の桔梗ヶ原学生寮前 旧カレッジレストラン、当時の松濤祭実行委員会室である。お揃いの緑のトレーナーの胸にはSTUFF 10TH SHOTO FES.M.D.C.の文字が。後になってSTUFFはSTAFFの誤りであることが判明するが後の祭りだ。そして前日のパレード、前夜祭は何とか天気は持ったものの大学キャンパスの一般公開となる当日は美術担当の馬場が陣頭指揮を執り数十名で作製した巨大な看板も雨に濡れていた。実行委員会室には二十数名の各部署責任者が沈痛な面持ちで集まった。野外ステージではこれから子供わくわく広場、青空はみがき教室、吉永さんのローラーダンス、そして夕刻にはお笑いタレント ヒップアップを招いてのCOMMUNITY NIGHTが予定されている。副委員長の安東が口火を切った。実行委員長の岡藤は校友会に協力していただいた金田正一さんのお迎えや講演準備があるから忙しい。お昼過ぎになっても雨脚が強まるようであればもうひとりの副委員長の山本さんと企画の市川が検討して体育館の仮設ステージを使うことを決める、この言葉で会は閉められた。各部署にはそれぞれの局員が持ち場で準備をしている。責任者たちは口々に最善を尽くそうとそれぞれが持ち場に向かった。
あなたとの、ふれあいをもとめて DENTIST FOR THE COMMUNITY これが第十回 松濤祭のテーマである。テーマによせて より良い歯科医師を目指すまえに、思いやりのある人間になれたら……と思います。個人のことを考えるまえに、地域の人々のことを考えて、貢献できたら…と思います。だから僕等は、地域の人々に自分達を知ってほしいのです。そしてまた、僕等は、地域の人々を知りたいのです。心のかよったコミュニケーションを通して、人間としてのふれあいを求めたいのです。僕等は、この松濤祭を絶好の機会にして“あなたとのふれあいをもとめて”是非、お会いしたいのです。(パンフレット原文のまま)
連休になれば地元の大阪に戻り中学や高校の仲間と同人誌を製作していた岡藤にとって一年生のときに参加した松濤祭は不思議な体験であった。アーチェリー部として身体を墨汁で黒に染めてパレードで塩尻や松本の市街を練り歩いても人と遭遇しない。三年生のときに美術部の菊地がデコレーション局を任されたことが切掛けとなってその手伝いで実行委員に加わった。一部が盛り上がっているだけと感じていたはずの実行委員のひとりは疲労感と共に小さな熱を感じた。同時にどこかで他人事と松濤祭を捉えていた矢先に一つ先輩の村木さんと小杉さんによばれた。隔年開催と思っていた松濤祭は翌年も開催が決まり四年生時の岡藤は実行総括局という新しい部署を任された。林さん、森さん、王子さん(横山さん)、安藤さんといったそれぞれ秀でた先輩たちから多くを学んだ。相変わらず一般の参加は少ないと感じたが何か心を動かされる体験を味わった。
ON THIS DAY in 1985 まさかの三年連続の松濤祭開催 会計には金銅、専門発表には宇田川を始めとする五年生が大勢仲間に加わり歯科を一般の人々に伝える活動を行った。実行総括には徳植、高田、竹下という後輩たちが加わった。当時の全学生数660人、実行委員は100人を越えた。午後には雨も上がった。
「一般の人々が多かったことが一番嬉しい。この体験、きっと忘れないと思う。」