日本では急速に高齢化社会が進み、世界的にみても長寿国ですが、残念ながら歯の健康状態は十分とはいえず、60歳ぐらいから平均して2年に1本の歯が失われています。最近の研究では、歯を失うことは食事が不自由になるだけでなく、痴呆の危険性が高くなるなど、全身の健康にも大きな影響があることがわかってきています。健康長寿のためにも、歯を失わないことと、もし歯を失ってしまった場合にも、できるだけ良く咬めるような治療を受けることが望ましいといえます。
歯を失ってしまった場合には、一般に入れ歯による治療が行われます。しかしながら、最近では取り外しの必要がなく、咬む力に優れたインプラント治療が注目されています。これは、歯が失われた部分にチタン製のスクリュー(人工歯根)を入れ、それを支えにして歯を作る方法です。インプラントでは天然歯と同程度の咬む力があり、患者さんの満足度も高いことが知られています。インプラントは誰にでもできるわけではなく、インプラントを支える骨が残っていなくてはなりません。残念ながら、インプラント治療を希望しながら、骨が十分に残っていないため、治療を受けることができない患者さんが少なくありません。
そこで、当院では骨が不足してインプラント治療を受けることができない患者様を主な対象とした専門外来を新設することとしました。
現在でも、骨が不足してインプラント治療が受けられない患者さんに対して、腰やあごの奥から骨を取って移植する治療が可能です。しかしながら、入院が必要な場合も多く、本来健康な部分に切開を加えて骨を採取する必要があることから、治療に踏み切ることのできない患者さんも多いのです。そこで、私たちは患者さんの負担が少ない骨の再生治療の研究開発を行っています。腰の骨を削る代わりに、腰の骨から注射器で細胞を採取しますが、これは局所麻酔のもと15分程度で行うことのできる処置です。得られた細胞を専用の培養施設で増やし、骨を作る細胞に変えてから移植を行います。移植された細胞は4-6か月で骨を作り、インプラントが入れられる状態になります。松本歯科大学では、厚生労働省の承認を得て、現在細胞を用いた歯槽骨再生治療の臨床研究を行っています。これまで7例の患者さんに細胞を移植し、良好な骨再生が得られています。
当院では、これまで十分な骨が残っていないためにインプラント治療を受けることができなかった方を対象とした「再生歯科外来」を新設しました。「再生歯科外来」では歯槽骨再生臨床研究を推進するとともに、さまざまな骨再生治療を通じて、これまでインプラント治療を受けることが難しかった方へ専門的な治療を提供しています。
受診に関するお問い合わせは0263-51-2067にご連絡ください。