教員コラム 「学ぶこころ」

(2011.06.02) 松本歯科大学 歯学部 物理学 田中 忠芳

 人は,生まれてから生涯を終えるまでの間,「学ぶ」ということと深く関わりながら暮らしている.

 人は人として生まれ,人として育てられ,人とのかかわりの中で成長し,そして生涯を振り返りつつ,人の中で生涯を終えていく.その人が存在した時間・空間において,どの時間・空間においても,一人だけで存在していることはない.いや,おそらく存在できない.必ず人は,直接もしくは間接的に,誰かとのかかわりの中で存在している.

 人が豊かさを感じられるのは,自分をとりまく草木や自然,そして人やその営みから,なんらかを得たときである.それこそが「学び」の原点である.人が人として存在しているあいだ,人は学ぶことで,豊かさを得ることができる.

 「学び」というのは,人として生まれたすべての人に関わることがらで,実は,学ぶ場面は,ごく平凡な日常のなかにある.学ぶこころがあれば,どんな些細なことからも得るものがある.私たちは,学ぶことと隣り合わせに普通に生活している.大事なことは,その人のこころに,学びの火が灯っているかどうかである.

 人のこころに学びの火を灯す.
 このミッションは,これからもしばらく続きそうである.


 田中忠芳先生は、「大学初年次数物系教養科目における授業改善とその評価に関する基礎的研究」という論文で、2010年度に本研究科において博士「学術」を取得されました。
 この学位論文は、2006年から2010年にかけての松本歯科大学初年次数物系教養科目の授業改善とその教育効果を、(1)田中先生が考案した「コミュニケーションカード」による学生の「やる気度」、「理解度」の分析と(2)力学概念に関する標準問題群の講義前後における実施から評価したものです。対照群を作ることなく、授業の改善効果を数値化できることを見事に示しました。
 また、物理学の修得に「実験実習」が重要であることも示しました。本学の教育改善に重要な示唆を与える研究論文であると思います。
 田中先生に大学院生コラムをお願いしたところ上記の文章を寄稿されました。大学院生コラムというよりも教員コラムがふさわしく思いここに掲載します。
(研究科長、高橋直之)